教員の研究テーマ

(2) 空間的人間形成・地理的教育人間学

 教育は、子どもの成長や発達に寄り添うものであり、つまり時間的・歴史的です。時間は変化にとって根本であり、急速に変化する現代社会もしばしば加速主義(accelerationism)として時間がますます幅をきかせたものとして捉えられています。しかしこのような現実社会では、人間は効率的に機械化され、自らの生は擦り減らされているといった事態に直面しています。このように時間的に悲鳴を上げている人間は、しかし単に時間や歴史に生きるだけでなく、空間や場所、そして地理にも生きています。この空間は、単なる物理空間であるだけでなく、人間の生きられた空間、そしてネット空間をはじめとするヴァーチャルな空間をも含み込んだ空間です。そのような空間に新たな形で住むことができる人間は、従来の時間的な存在を自ら引き離し、脱することが可能になるのではないか、そこから、人間の豊かな生成と変容のあり方を、取り戻すこと、また新たに創り上げることができるのではないかと考えています。