教員の研究テーマ
(1) 世界市民的教育
近代以降、国家が教育に対して様々な方法で影響を及ぼし続けてきました。国家のための有為な人材育成をめざすかぎり、当然のことです。しかしグローバル化された世界において、国境を超えた問題、例えば地球環境問題や戦争・テロなど、人類の存亡をかけた問題が噴出し、そのような課題に対峙する人間の形成には、単なる国家の枠を超えた視座が必要不可欠になります。またそもそも、人間存在は国家や地域に限定されて生きるのでしょうか。むしろ国境や地域の境目は人為的な区分に過ぎず、それらとともに/を超えて、生きているのではないでしょうか。このようなダイナミックな人間存在の形成と教育を哲学的かつ現実的に考察するのが、世界市民的教育です。このような世界市民的教育の内実と意味を、カントの豊潤な哲学・倫理学・世界市民的教育の考察についての研究を基盤に据えて、単に人間のみならず動物や植物など、世界の事物や事象との関わりを考慮に入れながら研究しています。